白いちごの発祥は?
熟してもほんのりピンクのキュートな白いちご!その先駆けは「初恋の香り」(品種登録:2009年)の誕生にさかのぼります。「初恋の香り」を20年もの歳月を費やして開発した三好アグリテック株式会社に取材しました。新しい品種を作る過程で偶然白い品種ができ、福島県の育種家と、毎回同じいちごがなるように品種固定。この過程で苦労した点を質問したところ、果皮が白く、甘みがあり、香りがある、という3点を備えたものを選ぶ作業に時間がかかったそうです。見た目の白さだけではなく、おいしさにこだわって完成した品種なのです。
「初恋の香り」は、さわやかないちごの甘い香り。酸度は低く、糖度12~17度のジュ―シーな甘みを味わえます。
2011年には、農研機構による「桃薫(とうくん)」が品種登録されました。小さく白い果実をつけ、桃に似た香りを持つ野生種(Fragaria nilgerrensis)と「とよのか」を交配した「久留米IH1号」(品種登録:2005年)から、果実の外観と収量性の改良に取り組み、「桃薫」を育成しました。
「桃薫」は、桃に似た芳醇な香りが特徴的。果実はやや柔らかく、みずみずしいいちごの甘みを味わえます。
その後も、「淡雪(あわゆき)」(品種登録:2013年)、「雪うさぎ」(品種登録:2014年)、「天使の実」(品種登録:2014年)など、続々と白いちごの新品種が登場しています!
いちごの栄養成分は?
いちごはビタミンCが豊富で、100g中62mg含まれています。161gのいちご、つまり5~6粒くらいを食すると、ビタミンCの成人一日の推奨摂取量100mg(出典/厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」)を摂ることができます。ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。
ビタミンB群である葉酸も多く含まれています。葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。胎児の正常な発育に寄与します。
いちご(生)の成分 | 可食部100g当たり |
ビタミンC | 62mg |
葉酸 | 90μg |
食物繊維総量 | 1.4g |
いちごの抗酸化活性について、いちごに含まれるエラグ酸、ビタミンC、アントシアニンの寄与度を比較した試験では、いちごの抗酸化活性はエラグ酸が大きな役割を果たし、次いでビタミンCが寄与していることが確認されました。
参考文献:曽根ら(2017)アスコルビン酸含量が多く抗酸化活性の高い促成栽培用イチゴ新品種「おいC ベリー」農研機構研究報告 九州沖縄農業研究センター 第66号
白いちごは、なぜ白い?白いちごの成分の特徴は?
白いちごは、なぜ熟しても白いのか。それは、いちごに含まれる様々なポリフェノールの一種アントシアニンが少ないためです。
総ポリフェノール含量は、いちご5品種(赤いちご4品種と桃薫)で調べた結果、「桃薫」が「さちのか」に次いで多い、という学会発表があります。
参考文献:宇野ら(2016)イチゴ品種におけるヒスチジンデカルボキシラーゼの活性阻害率の評価、園学研15別1, p319.
また、「桃薫」はアレルギーの原因となるヒスタミンを人体内で合成するヒスチジン脱炭酸酵素の活性を阻害する効果が高いという報告があります。いちご11品種を供試し、「桃薫」は最下位品種の10倍の阻害効果があったとしています。その効果は総ポリフェノール含量と緩い相関があるとのことです。
参考文献:Uno et al.(2017)Inhibition of recombinant human histidine decarboxylase activity in different strawberry cultivars. Acta Physiol Plant, 39, 134-139.